マッケンジー体操とは理学療法士のロビン・マッケンジーが生み出した腰痛の治療法で、腰を後ろに反らせる動作によって世界で初めて腰痛の改善する方法を発見しました。
マッケンジー体操は医学論文に何度も取り上げられる程、その評価は認められており世界中で支持されています。
日本では現在でもそこまで普及していない印象ですが一部の整形外科医などは認定資格を取り、手術等の外科的アプローチと併用して腰痛患者にマッケンジー体操を取り入れているところもあります。
今現在、世の中に広がる腰痛体操、ストレッチ、エクササイズ等は元を辿るとマッケンジー体操をベースにアレンジされている事がほとんどという事もあり当サイトでも自分で腰痛を治せる方法の中心コンテンツとして紹介しています。
マッケンジー氏が編み出した腰痛の治療法
冒頭でも触れていますがマッケンジー体操はニュージーランドの理学療法士ロビン・マッケンジーが生み出した腰痛の新しい診断法であり治療法になります。
現在、イギリスとアイルランドでは理学療法士が行う腰痛治療のうち、マッケンジー体操が約半分を占めています。
偶然、腰を反る動作で患者の症状が改善
1953年にニュージーランドのウェリントンで開業したマッケンジー氏は3年後のある日、スミスさんという腰痛患者の診療中にアクシデントが起きます。
スミスさんの痛みはお尻からひざ下まで広がっていましたがそれまで3週間に渡り一般的な温熱療法や超音波治療を繰り返すものの特に改善は見られません。
スミスさんはいつも通り診療室に入った時、マッケンジー氏が席を外していたので診療スタッフに診察台で横になっているように指示をしますが診察台は真ん中から折れるタイプで頭側が上がったままになっていたため、スミスさんはうつ伏せで体を反る姿勢になっていました。
当時は世界中で腰を後ろに反る姿勢は腰に最も悪いとされていたわけですが意外にもこの姿勢によってそれまでにはない腰痛の改善が見られ、ひざ下まで広がる痛みも無くなります。
この出来事がきっかけとなり試行錯誤の上、生み出されたのがマッケンジー体操になります。
世界中で支持される画期的な腰痛の治療法
日本ではそこまで普及してる印象がありませんがマッケンジー体操は世界中に腰痛革命を起こし、マッケンジー氏はその業績が認められ、栄誉を讃えられています。
- 1982年、米国に国際マッケンジー協会設立
- 1982年、アメリカ理学療法協会が生涯名誉会員を贈呈
- 1983年、国際腰椎研究会の会員に選出
- 1984年、アメリカ腰椎協会の特別研究員
- 1985年、ニュージーランドの特別名誉理学療法士を授与
- 1990年、英国の理学療法教会の生涯名誉会員
- 1990年、英国最優秀名誉賞を受賞
米国の理学療法士を対象にしたアンケートで最も影響を受けた臨床家としてマッケンジー氏は最多の支持を集めています。
世に出回る腰痛改善方法のベースはマッケンジー体操
日本ではあまり普及していない感があるマッケンジー体操ですが、書籍や動画サイトなどで紹介される腰痛を改善する体操やストレッチなどはマッケンジー体操をベースにアレンジしたものが殆どです。
なぜマッケンジー体操で腰痛が治るのか
なぜマッケンジー体操が腰痛に効果があるのかを理解するには背骨の構造を理解する必要があります。
横から見るとS字カーブを描く人間の背骨はその形状によって縦方向の重みを適切に分散し腰椎への負担を軽減しているわけです。
ただしこのS字カーブによる腰痛前弯は猫背や前かがみ動作などで簡単に崩れれば、たちまち腰痛と骨盤のつなぎ目辺りに縦方向の圧力が集中し腰痛が引き起こされます。
非特異的腰痛の腰椎前彎を回復させる
これがぎっくり腰(急性腰痛)なども含まれる椎間板性腰痛の原因ですが、マッケンジー体操では腰を反る動作によって失われた腰椎前弯を回復させる、非常に有効な方法なのです。
マッケンジー体操を行う流れ
マッケンジー体操は1~7のエクササイズで構成されており、
- その1~4:体を反らす伸展運動
- その5~7:体を前に倒す屈曲運動
基本的には番号順に進めて行けばよいのですが、体を反らす事で痛みが軽減した腰痛が前に倒す事で再発させてしまう可能性もあるので(その5~7)は様子を見ながらチャレンジしてください。
マッケンジー体操が効果的に行えているかどうかを検証する方法もありますので体操を開始する前にチェックするようにしてください。